~ 近鉄奈良線 旧生駒トンネル(石切側入口)
図:トンネル入口の場所

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旧逢坂山トンネルに続き、関西旅行で訪れたトンネルをご紹介いたします。

こちらも元々は旅行の目的(心霊スポット(^^;)に沿った事前調査で見つけた場所で、心霊スポットを特集した某サイトで紹介されていました。

心霊スポット関連のサイトによると、旧トンネルと新トンネルは途中で合流しているような記述がありますが、これは間違い。新トンネル(現役の生駒トンネル)と旧トンネルはまったく別の場所に掘削されています。

しかし、旧トンネルの建設で落盤事故が発生し多くの犠牲者が出たことは事実で、トンネルの通過中に幽霊が出るという噂は開通当時から囁かれていたそうです。

正しくは旧生駒トンネルと、後に作られた近鉄東大阪線(現:けいはんな線)の新生駒トンネル(1986年開通)が繋がっているということなのだそうです。東大阪線の生駒トンネルは、生駒側の入口を含む一部を奈良線の旧生駒トンネルを拡幅して建設されたのだそうで、それならば後述の厳重な警備も納得というもの。

心霊スポットとされる由来については他にもあって、トンネル内での車両火災や、列車のブレーキが故障して先行列車に追突し多数の死傷者を出す事故があったり、上記の東大阪線開通後にもトンネル火災で死者が出るなど、開通後も苦難続きのトンネルのようです。

#情報を提供してくださったyou2さん、ありがとうございました。

話を元に戻しましょう。旧生駒トンネルがある鉄道路線は、近鉄の前身である大阪電気軌道(通称:大軌)の開業路線で、大阪からまっすぐ東に進み、生駒山地を長大トンネルで抜け、最短距離で奈良と結ぶという大胆なものでした。旧生駒トンネルは、その生駒山地を一気に貫く最も重要なトンネルで、その掘削は困難を極めたといいます。

そうしてついに開通(1914)した鉄道でしたが、旧生駒トンネルは当時の小型な車両しか通れない設計だったため、近代化に伴い大型の車両も通れるよう断面積の大きいトンネルを新たに掘削しました(1964)。これが現在の生駒トンネルで、半世紀に渡る歴史の幕を閉じた旧生駒トンネルは、新トンネルの近くにひっそりと入口を残しています。

参考:近鉄奈良線の履歴(近畿日本鉄道)

2000-05-04 : 訪問
2000-05-22 : 掲載
2021-09-21 : リニューアルに伴い加筆修正
写真:石切駅付近。クリックすると大きな画像が出ます。

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写真左が現在の近鉄石切駅です。現在の生駒トンネルは写真の左端付近に入口があります。
奈良線開通当時この付近は山になっていて、今の石切駅付近一帯は地面の下だったそうです。当時の線路はその山を急勾配のトンネルで抜け、写真右の駐車場の部分を経て、旧生駒トンネルに至っていました。駐車場の隅には線路が存在した当時の橋台の跡が残っていて、側を通る道路からよく見えました。

2021年現在、写真に写っている駐車場と空き地は宅地となり、同じ場所から石切駅は見えなくなってしまいました(Google Map でストリートビューを開く)。

また宅地化に伴い、道路から見えた橋台の跡は取り壊されてしまったようです。2021年現在ネット上に該当の情報は無く、撮っておけば良かったと悔やむばかりです。残念。

写真:孔舎衙坂駅入口1
写真:孔舎衙坂駅入口2

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先程の写真を撮った場所から、駐車場の辺りまで歩いてきたところです。

門の向こうに続いているコンクリート敷きが、開業当時に線路があったところです。一見すると立入禁止のようですが、門の横に歩道があり歩いて中に入ることができます。

奥に見えるのがトンネル入口で、手前の両側にあるのは、トンネル切替と同時に廃止となった孔舎衛坂駅のホームです。ホーム跡はほとんど草ぼうぼうになっていますが、ホームに隣接した神社などもあり最低限の手入れがなされています。

2021年現在のストリートビューで確認する限りでは、立入できるのは歩道までで、駅跡の敷地は鉄条網付きフェンスで囲まれ厳重に立入禁止となったようです。トンネルは鉄道業務に現役で使われていますから、侵入者対策の強化は仕方ありません。

ホーム跡やトンネル入口を間近で見学したい人は、近鉄が主催するイベント等を利用するしかなさそうです(「生駒トンネル site:kintetsu.co.jp」などの設定で近鉄のサイトを検索すると、イベント情報が出てきますのでご参考にどうぞ)。

写真:孔舎衛坂駅跡と旧トンネル入口1。クリックすると大きな画像が出ます。

普通の目線の高さから撮影したものなんですが、上下線のホームの間隔や、トンネルの断面積が若干狭いことがお分かりでしょうか。今時の電車はもちろん入れないサイズですし、路線バスの車両でも壁ギリギリ走行となりそうに見えます。
気になったのでちょっと調べてみましたが、路線バスの大型車両と当時ここを走った電車は幅が同じ2.5mだそうなので、電車と同じ隙間を保って路線バス同士がすれ違い走行することを考えると余裕のない狭さと言えるでしょう。

写真:トンネル入口
トンネル入口正面。防犯カメラ(赤外線カメラ?)がこちらを向いている
写真:トンネル内部
入口の門の隙間から内部を撮影。中にはさらに扉と防犯カメラ2台, 防犯用とみられる照明設備が見える

トンネルは現在も何らかの用途に使われているようで、入口は門で塞がれているばかりでなく、照明設備や防犯カメラまでもが設置されています。それにしても厳重な警備です。いたずらに侵入する人が多いんでしょうか。確かに、立入禁止の看板や立ち入り防止の柵の類がなかったとしたら、私も入ってみたかもしれませんが(^^;

先ほども記載の通り、トンネルは奥でけいはんな線のトンネルと繋がっており、またその他鉄道の設備(電力設備等)も格納されているそうです。
ここで侵入者が万一事故を起こせばトンネル内全列車全乗客・乗務員の人命に関わりますから、むしろ当然の警備と言えます。

元は心霊スポットとして知った場所でしたが、昼間に来ればのどかな廃線跡で、振り向くと急斜面に張り付く住宅地が一望できる場所とは思えない興味深い場所でした。

心霊スポットではなく、歴史遺産として礼儀正しく訪れて欲しい場所でした。