~ 大原岩船の海岸トンネル ~
図:トンネルの場所

[Google Map で地図を開く]

古いトンネルは大抵心霊スポットになっていること、また車を出してくれる友人が心霊スポット好きのためその手の情報をサーチすることが多いのですが、ここはそういった情報で見つけた1つです。

図に描いた東西に3つ並ぶトンネルの辺りと、この道沿いにある、人1人がやっと通れるくらいの狭い素堀りのトンネルに何か出るという情報を元に、心霊スポット好きな友人に車を出してもらいトンネルを探しに行きました。

3つのトンネルがある道路はセンターラインがある2車線の道で、人家や照明が無く(トンネルにも明かりがなく)寂しい他はごく普通の道路でしたが、心霊スポット目当てなら怖さを演出してくれる暗さかもしれません。

一番東側にあるトンネル近くの道端海側に、「危険」「注意」など大書きされた看板がいくつも立てられています(Google Map ストリートビューを見ると現在も看板があるようです)。何もなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうなところですが、看板のせいでかえって目立ってしまっています(苦笑)。早速車を停めて中を覗いてみました。

1999-? : 訪問
1999-10-11 : 掲載
2021-09-21 : リニューアルに伴い加筆修正
写真:入口へ続く階段

車道から横に狭い下り階段が伸びていて、その先に鉄格子がつけられたトンネルの入口があります。

…と、写真を見ればそう分かりますが、実際はどこにも明かりが無く真っ暗で、正面の暗闇からトンネルを通して聞こえてくる波の音だけが周囲に反響しています。心霊スポットと噂されるだけあって、なかなか怖いです。

ちなみに、この位置で後ろを向くと、道路の向こうには公衆トイレらしき建物があります。コンクリートの階段もまだ新しく、「ゴミを持ち帰りましょう」という看板もあることから、元々は遊歩道のようなものだったのではないかと思いました。

写真:入口へ続く階段

トンネル入口の鉄格子。扉は最初から開いていました。

左上の縦長の札には、「漁協組合員以外の方は許可なく通り抜けできません。万一事故が生じたときは一切の責任は負いません。岩船区長」と書かれています。

しかし、その下の段ボールには「缶、瓶、残滓(かす)まで持ち帰りましょう 護美の浜」と書かれていて、立ち入り禁止なのか立ち入り前提なのかよく分かりません(^^;

扉に隠れてしまっている右側の札には「砂浜」という文字も読みとれることから、トンネルの先は砂浜になっていて、そこへ遊びに来る人への警告と読み取らせていただきました。私はトンネルしか見ませんので…(^^;

写真:内部その1
写真:内部その2

トンネル内部は足場が1人分の幅しかありませんが、排水溝と思われる溝の幅があるので何とかすれ違うことくらいはできそうです。

コンクリートを吹き付けて固めたと思われる壁には、合計6つほど横穴がありました。2枚目の写真はその1つの中を撮ったものです。午後の紅茶500mlペットボトルや、たき火をしようとしたと思われる木の枝(燃やされてはいないようです)が散乱しています。
友人曰く「戦時中に掘られた壕に似ているけど、こんな海の近くには普通掘らない」だそうです。

写真:海側坑口を中から撮影。立入禁止の看板と柵で封鎖されている
海側坑口を中から撮影。立入禁止の看板と柵で封鎖されている
写真:海側坑口横の壁が崩れて、人が通れるサイズの穴が開いている
海側坑口横の壁が崩れて、人が通れるサイズの穴が開いている

トンネルは十数メートルで終わります。突き当たりは「立入禁止」の看板と柵で先に進めません。

そこで右を向くと壁が派手に崩れていて、基の情報にあった「落盤事故があった」という内容もここからきているのでしょう。

写真では色々見えますが実際は懐中電灯の光も届かない暗闇で、トンネルを出た先の様子は全く見えず、海へ転落するなどの危険もあるため、私達はここで撤退しました。

この後御宿町の小さなトンネルをいくつか探して回りました(こことかこことかこことか)。中には新道建設に伴い山ごと削られて消滅したトンネルもありましたが、林道の中にある岩をくり抜いたトンネルでは、壁に地層が現れているものもありました。

房総はトンネルの宝庫です。